こんにちは。レトリバ研究開発部の飯田、木村です。
レトリバでは、研究動向・業界動向の把握のため、研究開発部の人間は積極的に国内学会に参加しており、今回は、人工知能分野で最大規模とも言える、人工知能学会の全国大会に参加しました。
概要
今回の人工知能学会は新潟で開催されました。
スポンサー・協賛合わせて、90社と、この分野の盛況感が伝わってきます。
分野も多岐にわたっており、深層学習一色というわけでもなく、人工知能に関連する様々な分野の取り組みを聞けるのもこの学会の醍醐味だと思います。
分野の動向として特に印象的だったのは、丸山宏先生の招待講演でした。
https://www.ai-gakkai.or.jp/jsai2019/invited-talk
この講演は、深層学習の登場によって、何がどのように変わっているのかと言ったことを、計算モデルの視点から俯瞰的に述べられている、非常に刺激的な講演でした。
今後発展する方向性の一つが示されていたと感じました。
個別の面白かった発表
以下では個別に面白かった発表を紹介したいと思います。
双曲空間上での単語および文章の意味の構造の埋め込みとその可視的な分析
文書の類似性から双曲空間での埋め込みによって階層構造を構築し、可視化に役立てるという研究でした。双曲空間で階層構造を埋め込めることは知っていたのですが、逆もできるということ、またある程度人の感覚にもあっていそうだという点で面白かったです。(PDF)
評価傾向の差異を考慮した分散表現による協調フィルタリング
分散表現をレコメンドとして使用する研究でした。言語処理でも分散表現はよく使用するのですが、言語の場合は、単語x単語の行列として考えています。一方レコメンドの場合は、ユーザxアイテムと考えます。この辺りで、分散表現の学習に関する解釈をもう少し一般的にできる気運を感じました。(PDF)
外生変数を伴う長期予測における主要因子推定法
数値データに時系列系の深層学習を使用する研究でした。時系列の場合、実は今まで予測に主眼が置かれていたところがあるので、深層学習との相性が良いのだろうと思います。数値でもうまく系列系の深層学習が出始めていることを知りました。(PDF)
オントロジー工学に基づくセマンティック技術
オントロジーはかなりの歴史のある分野ですが、その思想や流れ、どう言ったことができるのかということを網羅的に知るのに良いチュートリアルでした。資料も公開されているので、この機に、一足にオントロジーを振り返ることができました。(URL)
調理作業スペースの概念モデルの可視化の検討
キッチンの作業スペースのユーザビリティの向上のため、作業スペースのエリア分割とその意味付けによる概念モデルを可視化するという研究でした。どのような材料で、どのような調理を被験者に行ってもらうかといった問題設定から検討し、実際のデータ収集、解析まで一貫して行っていたことが素晴らしいなと思いました。(PDF)
グラフ上の問題に対する難しい問題の自動生成
グラフ上の組合わせ問題に対して様々な"難しい"インスタンスを自動生成するという研究でした。問題設定が新鮮で、最適化問題として定式化し、ニューラルネットを用いた強化学習問題を用いて解くという流れが面白かったです。(PDF)
その他全般
発表会場や交流スペースはともに熱気にあふれており、活発な質疑応答や参加者間の交流が行われていました。特にポスターセッション会場は移動が大変なほど多くの人が集まり盛り上がっていました。基調講演でも触れられていましたが、製造業におけるデータ解析プロジェクトの現実的なギャップに関する話題が個人的に印象に残っています。
全体の交流会は会場近くの万代島多目的広場で行われました。雄大な信濃川を臨み、川からの涼しい風を感じながら飲む新潟の地酒はとても美味しかったです。
終わりに
レトリバ研究開発部では自社製品の研究開発を行うだけではなく、学会イベントなどのスポンサー・大学との共同研究の遂行・研究成果の対外発表など、学術コミュニティへの貢献を積極的に行っています。∪・ω・∪
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